ホテル内20階のレストランや21階の宴会場で提供しているお料理では、主に東京産の野菜を使用しています。
＜料理長 石川 篤志の東京産野菜との出会い＞
インバウンド需要の増加に伴い、2018年頃から海外のお客様を東京産の野菜でおもてなししたい、という調理人としての思いが芽生えていました。
東京産野菜を使用し始めたのは、2019年。立川市の
カラフル野菜の小山農園で作られたハーモニーにんじんから始まります。実際に農園に出向き、生産者の熱意に心を惹かれ、次第に料理長 石川は東京産野菜の品質の高さに惚れ込んでいきました。
2020年から東京産野菜の使用に特化し、生産者を通じて新たな生産者との出会いもあり、今ではお付き合いのある都内の農園は8か所に上ります。
＜東京産野菜の魅力と地産地消＞
料理長 石川が感じる東京産野菜の魅力は大きくわけて3つあります。
ひとつは、安心・安全な農産物の認証制度を取得した農家が多く存在することです。
各生産者がそれぞれにこだわりを持って農業に携わっており、特に、農産物に大きく影響すると言われている土づくりは、牛糞・馬糞や落ち葉をミックスして作った自家製堆肥を使用していることが、おいしい野菜の生産につながっていると感じています。国内・海外問わずにホテルに来館されるお客様に東京野菜の安全性をアピールできることが強みであります。
*GAP：「Good（良い）Agricultural（農業）をPractice（実践）する」の略。一般的には「農業生産工程管理」と呼ばれ、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための取組のこと。
東京都では、持続可能な農業生産と地産地消を推進するため、農林水産省の「GAPガイドライン」に準拠し、都市農業の特徴を反映した東京都GAPを推進しています。
二つ目は、近場の農家の生産者がゆえに、実際に畑に行くことができ、生産者の顔が見え、関係性を構築できることです。
地方の農家や市場から仕入れた野菜では、生産者の顔を知ることもなく、地方の畑に出向くこともできません。若手の調理人やサービススタッフがたびたび農園を訪れ、種の植え付けや収穫のお手伝いを通じて生産者との絆を深めています。
三つ目は、何と言っても“鮮度”の良さ。
都内近郊から朝に収穫された野菜が、早ければタイミングよく同日夕方に届きます。トウモロコシやアスパラなど“鮮度”が命の野菜は瑞々しい状態で届き、おいしい状態でお客様に提供できることは何物にも代え難いです。
また、地域で獲れた野菜を使うことで、農産物の運搬で排出されるCO2の削減や陸の資源を保護することにつながり、“地産地消”でSDGsに貢献できることもポイントです。
＜野菜への探求心＞
料理長 石川 篤志は20代の頃のフランスでの修業時代に、何種類もの野菜を使い、すべて異なる調理法で作られた野菜だけのコースや、彩り豊かな野菜が並べられた野菜プレートを作る調理人から刺激を受けました。その影響もあり、前職においても、調理作業の傍ら都内近郊の農園に出向き、生産者から直接野菜を仕入れ、顔の見える間柄を持ちながら食の安心・安全に取り組み、野菜への興味を深めていました。
サザンタワーにて東京野菜を本格的に使用し始めた後、2021年8月に野菜ソムリエの資格を取得。専門的な知識を身につけたことで、改めて食材のありがたみを再認識し、生産者に対してのさらなる敬意が生まれています。
＜料理長 石川 篤志の想い＞
安心・安全な野菜を食べることによって、からだも心も幸せに、笑顔になってもらいたい。また、東京産野菜の使用を通じて食材に触れ合い、生産者との交流を深めながら、生産者がどのような想いをして野菜を作っているのかを生産者に代わりお客様に伝えたい。さらに、その野菜を使って作った料理への想いを伝えることもできる。料理人は食材がなければ何もできないので、食材のありがたみを感じながら、生産者がこだわり作り上げた、鮮度の良い最高な野菜を使わせてもらっていることを常に感謝しています。
東京の生産者は限られた農地で野菜を作っており、その背景には農業者の高齢化や後継者不足があります。東京の生産者と触れ合っていくなかで実際に見聞きし、担い手がいない農家は農地を売却してしまうことを知ります。料理人として東京産の野菜を使うことで生産者の方に何かできないか、少しでも東京の農業の活性化を支援したい、と考えから、東京産野菜に想いを込めています。
今後は、生産者とのお付き合いから、東京産の卵や乳製品などを扱う生産者を新たに紹介いただき、地産地消の幅を広げていくビジョンを掲げています。
＜東京産野菜の主な取引先＞
立川市
カラフル野菜の小山農園
練馬区 清水農園
八王子市 河井農園
清瀬市 横山園芸
三鷹市
天神山須藤園
三鷹市 田辺農園
清瀬市
なみき農園
日野市
Neighbor's Farm
＜東京産野菜のおいしさと身体にやさしい幸せを味わうメニュー＞
野菜が持つおいしさと栄養価を最大限に引き出すこだわりの調理法で提供する、東京野菜が主役の“ベジフルコース”は、20階 サザンタワーダイニングのランチライム、ディナータイムに提供しています。
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